雇用保険制度の目的のひとつに、労働者が失業した場合の所得補償として給付を行うことがあり、この給付の代表的なものとして、一般的には「失業手当」と呼ばれることの多い「基本手当」があります。今回、この基本手当の申請に関して、妊娠、出産等の理由で働くことができなくなった場合の受給期間を延長する際の取扱いが、平成29年4月より変更となりました。そこで、今回はその内容を確認しておきましょう。
1.基本手当の申請期間
基本手当は、原則として、離職日の翌日から1年以内(以下、「受給期間」という)の失業している日について、一定の日数分が支給されます。しかし、この受給期間内に、妊娠、出産等の理由で引続き30日以上、働くことができない場合には、その期間の基本手当は受給できず、代わりにハローワークに申請することで、その日数分について受給期間を延長ができます。なお、この受給期間は、最長で離職の日の翌日から4年間までとなっています。
2.平成29年4月からの変更点
上記の受給期間を延長する場合に関して、以前は、離職日の翌日から30日を過ぎてから1ヶ月以内に申請する必要がありましたが、今回の変更により、延長後の受給期間の最後の日まで可能になりました。つまり、働くことができない期間(最長で離職の日の翌日から4年間)までは、申請することが可能になります。具体例を示すと下図のようになり、このように申請に余裕をもって行うことができるでしょう。
ただし、申請可能な期間であっても、申請が遅い場合は基本手当の所定給付日数をすべて受給できない可能性があります。そのため、手続きはすみやかに行っておくことが基本になるでしょう。
従業員の退職にあたり、今回の受給延長に該当する可能性があれば、申請の取扱いが変わっていることを分かりやすく説明しましょう。
■参考リンク
厚生労働省「基本手当について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135026.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。