算定基礎届作成時に注意すべき支払基礎日数

毎年7月1日から7月10日は社会保険の定時決定の手続きを行う必要があります。この定時決定は、「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届」という届出の名称から、一般的に「算定基礎」と呼ばれています。今回は、平成28年10月より短時間労働者への社会保険の適用拡大(※)が行われてから初めての算定基礎となることから、実務上のポイントとなる支払基礎日数の考え方を整理しておきましょう。
※厚生年金保険の被保険者数(短時間労働者を除く)が常時501人以上の事業所が対象

1.支払基礎日数の考え方
算定基礎では4月から6月に支払われた給与の平均によりその年の9月からの標準報酬月額を見直すことになりますが、この平均を算出する際に、欠勤等により賃金が減額されている月がある場合には、その月を含めて平均を算出することにより、本来の給与とはかけ離れた低い標準報酬月額になる可能性があります。そのため、賃金が大きく減額されている月はその月を除いて算出するルールが設けられています。
賃金が大きく減額されているか否かは、その給与の支払対象となった日数である支払基礎日数で判断します。この支払基礎日数とは、その給与の支払い対象となった日数のことをいい、以下の考え方になります。

(1)時給制・日給制の場合
実際の出勤日数に年次有給休暇等の有給休暇の日数も含んだもの。
(2)月給制・週給制の場合
出勤日数に関係なく暦日数。ただし、月給制・週給制で、欠勤した日数分の給与が控除される場合は、就業規則等で定められた日数から、欠勤日数を控除した日数とする。

2.各々の支払基礎日数
支払基礎日数は、正社員(一般の被保険者)・パートタイマー・短時間労働者の3つに分けて考えることになっています。このうち、短時間労働者とは、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3未満であり、社会保険の被保険者となるパートタイマーの基準は満たさないものの、週の所定労働時間が20時間以上等という条件を満たして社会保険に加入する人を指します。

(1)正社員
17日以上の月を対象とする。
(2)パートタイマー
17日以上の月を対象とする。ただし、4月から6月のすべての月が17日未満の場合には15日以上の月を対象とする。
(3)短時間労働者
11日以上の月を対象とする。
なお、算定基礎届の備考欄に、パートタイマーは「パート」、短時間労働者には「短時間」または「短」と記入することになっています。

3.すべての月で基準未満のときの対応
原則的な取扱いは2のとおりですが、4月から6月のすべての月で支払基礎日数が2の基準未満の場合や、欠勤や育児休業等で4月から6月のすべての月で給与が支払われないこともあります。このような場合には、4月から6月の給与では算定できず、従前の標準報酬月額で決定することになります。

4.給与の支払対象となる期間の途中から入社したとき
新入社員や中途入社の社員は、必ずしも給与計算期間の締切日に合わせて入社するわけではありません。給与の支払対象となる期間の途中から資格取得したことにより1ヵ月分の給与が支給されない場合、1ヵ月分の給与が支給されない月(途中入社月)を除いた月を対象とします。

これらのほか、算定基礎届の作成で迷うことがありましたら、管轄の年金事務所や当事務所までお問合せください。

■参考リンク
日本年金機構「定時決定のため、4月~6月の報酬月額の届出を行うとき」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/kenpo-todoke/hoshu/20141225.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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