新卒採用市場「売り手市場(学生側が有利)」の認識が93.0%

平成30年4月入社の採用は一段落し、入社を待つばかりとなりますが、この新卒採用において苦戦した企業も少なくないのではないでしょうか。これに関連し、先日、文部科学省から「平成29年度就職・採用活動に関する調査(企業)速報版」が発表されたことから、今回はこの内容をとり上げましょう。

1.平成29年度の就職・採用市場
この調査は、就職問題懇談会(事務局:文部科学省)が行っているもので、企業における採用活動の状況を把握し、今後の就職・採用活動の円滑な実施の検討に資することを目的としています。今回は全国の企業2,500社を対象に、平成29年7月20日から8月10日にかけて実施され、平成29年8月1日時点の状況の回答を集計したものになります。なお、後日、調査結果の最終版が公表される予定です。

平成29年度の就職・採用市場の認識を確認する質問では、採用活動を実施した企業のうち93.0%が売り手市場と認識しており、前年度の82.8%から10.2ポイント増加しています。また、採用活動を実施した企業のうち71.2%が「売り手市場であり、昨年度より強い傾向」と回答しています。

2.採用予定者数の確保状況
本年度の採用予定数を確保できているかについては、「概ね確保できた」と回答した企業が41.6%、「まだ確保できていない」と回答した企業が58.3%となっています。これを規模別にみてみると、大企業においては、「概ね確保できた」と回答した企業が53.1%、「まだ確保できていない」と回答した企業が46.9%となっている一方で、中小企業において「概ね確保できた」と回答した企業が30.5%、「まだ確保できていない」と回答した企業が69.3%となっており、中小企業が採用に苦戦している状況がよく分かります。

3.採用予定数を確保できない理由
2.の採用予定数の確保に関して、まだ確保できていないと回答した企業に理由を質問したところ、下図のような結果となっています。「売り手市場で他社との競争が激しいため」と回答した企業がもっとも多く65.5%を占め、また「内定辞退数が想定を上回ったため」という回答は34.5%となっています。

特に中小企業では、今後も人材を確保していくことが難しくなるでしょう。そのため、自社のアピールポイントを分析し発信したり、大企業ではできないキャリア形成ができることを伝えたりすることで優秀な人材の採用につなげたいものです。

■参考リンク
文部科学省「平成29年度 就職・採用活動に関する調査(企業)調査結果報告書」
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/gakuseishien/1398051.htm

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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