ストレスチェック制度 8割強の事業場で実施

2015年12月より従業員50人以上の事業場(※)について、ストレスチェックの実施が義務付けられましたが、先日、この実施状況が厚生労働省より公表されました。そこで、今回はこの内容をみておきましょう。
※従業員50人未満の事業場については当分の間、努力義務とされています。

1.ストレスチェックの実施状況
ストレスチェック制度とは、企業が従業員に対して、1年以内ごとに1回、医師・保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を実施することを指しています。そして、ストレスチェックを実施した後に、「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を所轄の労働基準監督署に提出する必要があります。
今回の調査結果は、この労働基準監督署への報告書の内容をとりまとめたものになり、2017年6月末現在で、この報告書の提出があった事業場は全体で82.9%となっています。 この報告書は、各事業場の事業年度の終了後など、事業場ごとに設定して差し支えないとされていますが、ストレスチェックを実施したものの報告書の提出を漏らしているケースが見受けられます。報告書は、確実に提出しておきましょう。

2.ストレスチェックの受検状況
ストレスチェックは、従業員にストレスチェックの受検の機会を与えることを企業に義務付けたもので、実際にストレスチェックを受検するか否かは従業員の判断に委ねられています。今回の調査において、ストレスチェックを受けた従業員の割合は78.0%で、約8割が受検しているという状況となっています。そして、ストレスチェックを受けた従業員のうち、医師による面接指導を受けた従業員の割合は0.6%となっています。
またこのストレスチェックは集団分析を行うことが努力義務とされています。この集団分析とは、職場や部署単位など個人が特定されない人数規模の単位で、ストレスチェックの結果を集計・分析し、改善に活かすというものです。今回の実施状況のなかで、この集団分析を実施した事業場の割合は78.3%となっており、事業場規模で見てみると、50~99人では76.2%、100~299人では79.7%、300~999人では83.6%、1,000人以上では84.8%と、事業場規模が大きくなるほど、集団分析を実施した割合が高くなっています。

メンタルヘルスの問題は多くの企業で課題となっています。ストレスチェックの実施により従業員自身がストレス状況に気づき対処していくことで、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことができます。企業としてはできるだけ多くの従業員が受検するように案内を行い、また集団分析を活用して職場環境を改善する必要がある職場や部署があれば原因を探り、予防に向けた取組みに繋げていきましょう。

■参考リンク
厚生労働省「ストレスチェック制度の実施状況を施行後はじめて公表します」http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000172107.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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